手作りの公園

作成者:關 健作(ブータン・体育・H18年度派遣

仕様

サイズ:約500平方メートル
内容:跳び箱・ブランコ・鉄棒・平均台など


体育隊員の關健作さん(H18年度派遣)は、
体育の授業の発展に協力するため、ブータンの小中学校に派遣された。

ブータンの学校には体育用具や遊具がなく、地域にも公園がほとんどない。
そのため、子どもたちには運動をする機会が極端に少なかった。
關さんはカウンターパートの体育教師とともに、現地で調達できる竹などを使ってハードル、ラダーなどの遊具を製作。
さらに、子どもたちがのびのびと運動できる機会を増やせないものかとカウンターパートと話し合うなかで、
「構内に公園をつくる」というアイデアが出てきた。

作業に着手したのは、赴任して1年9カ月目。
候補地には岩が多かったが、ほかに適当な場所もない。
そのため、最初にやらなければならない作業は、まず地面をならすことだった。
力のある男子生徒約30人とともに、ハンマーで岩を砕く。
取り除いた岩はさらに細かく砕いて、道具を固定する土台に使うセメントの原料にした。

跳び箱やブランコ、鉄棒、平均台など、製作した遊具の材料は、住民から譲ってもらった廃タイヤや木材など。
修理するときのことを考えて、材料はすべて現地で調達できるものでまかなった。
遊具がひととおり完成したら、仕上げに大きな岩いっぱいにイラストを描いた。

子どもたちにとって、初めて体験する公園。
とても魅力的だったようで、オープンの日から、公園には子どもたちの笑顔と歓声があふれるようになった。
カウンターパートは、「きみと一緒に子どもたちに新しい世界を紹介できてうれしいよ」と喜んでくれた。

「作業期間の1カ月半、少しずつ公園が形になっていくのを見て、毎日が感動と感謝の連続でした。
自分ひとりの力ではとてもできません。同僚、子どもたち、地元の住民など、みんなの力で完成した公園です。
子どもたちは遊びの天才。今後、この公園でいろんな楽しみを見つけていってくれることと思います」(C)



文=大石美穂 Text by Miho Oishi
PROFILE
せき・けんさく●1983年、千葉県出身。
体育大学を卒業後、中学校での陸上競技のコーチを経て、
2007年1月、協力隊に参加。