ルオー版画の世界展
11月13日(土)~12月12日(日)

ⓒ ADAGP,Paris & SPDA, Tokyo,2010

ジョルジュ・ルオー(1871-1958)は、20世紀最大の宗教画家と評されるフランスの美術家です。敬虔なカトリック信者として生涯の大半をパリで過ごし、人間と人間社会の罪を鋭いまなざしで見つめ続けました。その作品には深い信仰心と人間観が満ちあふれ、傲慢な者への怒りと、貧しき者・弱き者への憐憫の情に導かれた独自の主題が貫かれています。

ルオーはその重厚な質感の油彩画で知られていますが、版画においても際立った個性を見せています。工夫を重ねた銅版画の技法によって、版画でありながらも重みのあるマチエールを生み出すことに成功しました。また色彩にも深い関心を示し、専門の刷り師とともに銅版画による多色刷りを追求しました。その成果は『流れ星のサーカス』や『受難』などに現れています。これらの作品では、驚くほど深みのある色彩表現が実現されています。

こうしてルオーは1920年代から30年代にかけての時期に、銅版画集『ミセレーレ』(1922-27年)、『流れ星のサーカス』(1934-35年)、『受難』(1935-36年)のほか、石版画集『回想録』(1926年)や「秋」(1933年)などの傑作を残しまた。

本展は、町田市立国際版画美術館が所蔵するルオーの代表的版画作品のなかから選んだ25点を今回特別にご紹介するものです。

姉歯公也展 作品紹介