『バラ図譜』
世界最美として有名なこのバラ図譜は、ナポレオンの妃ジョセフィーヌに
よってコレクションされたバラを描いている。ジョセフィーヌは自分の館、
マルメゾンに庭園を造り、熱狂的にバラを集めたのみではなく、当代一流
の育種家を集め自らバラの改良を進め多数の品種を作出した。これらのバラ
は現在のバラに続くオールドローズの基となった。この図譜に収められた
170種の内現存しない種も数多く、この図譜のみにその姿を残している。
「花のラファエロ」またはバラの画家と呼ばれる作者のルドゥーテはベルギー
に生まれパリに出て植物絵師となり、イギリスで学んだスティップル(点刻)
と呼ばれる独特の銅版技法を発展させた微細な点の集まりにより色と形を
表現するこの技法は、淡く上品なグラデーションを可能とし、画から輪郭
線を一掃できた。現在ではこの技法を再現することは不可能とされている。
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